4月7日(金)、進級式を挙行しました。校長先生の式辞、理事長先生の祝辞、そして2回生の歓迎の挨拶のあと、代表学生が決意を述べました。😊
《理事長祝辞》
第八回看護専攻科進級式を祝し、学園を代表してご挨拶を申し上げます。
本日ここに専攻科に進級された62名の皆様、誠におめでとうございます。保護者の皆様も安堵されたことと存じます。
さて、皆さんは3年間の看護科課程を修了され晴れて今日を迎えられました。コロナ禍の真っ只中、何もかもが思い通りに行かず、不安や焦燥にかられた事も一度や二度ではなかったでしょう。
先が見通せない日々、それでも皆さん方は目標を見失う事なく今日ここに集い、新たなスタートを切られようとしているのです。心の底から敬意を表し、頑張れと激励せざるにはおられません。
そうした中、ようやく霧が晴れ雲間から日が差し始めました。あの息詰まるような日々があったればこそ、一層今日のこの日が眩しく感じられるのではないでしょうか。そうです。皆さん方の前には、これからの厳しくも充実した二年間の学びのレールがもう見えていますよね。つい油断して脱線しないように、しっかりと足下を踏みしめ、一歩一歩焦らず、慌てず前に進みましょう。
そもそも患者さんにとって看護師さんはどういう存在なのでしょうか。きっと誰よりも身近な自分の理解者だと頼りにされているのではないかと私は思います。
私事で恐縮ですが、本年早々およそ五か月間の壮絶な闘病の末、妻は亡くなったのですが、意識が途絶える直前までスタッフの皆さん方、取り分けても看護師さんへの感謝を幾度となく声にならない声で私に伝えようとしていたことが思い起こされてなりません。
彼女が伝えたかったことはきっと、苦しい時に常に寄り添い適切な処置を施してくれていることへの絶大な信頼だったろうと思います。痰が咽頭を塞ぎ、窒息死する危険と隣り合わせの日々。数度の危篤を乗り越え半年近くを生きられたのは看護師さんの献身的で懸命な対応のお蔭だと私のみならず、誰よりも本人が一番理解していたのではなかったでしょうか。
これから始まる専攻科の日々。こうした見送るしかない場合であっても、最後まで人間の尊厳に敬意を払うこと。そして回復して帰宅する人たちには、帰宅後の生活が少しでも不自由無く過ごせるよう為し得ること全てに配意すること。
疾病に関する専門的知識や技量を学び磨くことは言うに及ばず目の前にいる人、その人をしっかり理解しようと努めることで、社会の実相や人間の深遠に迫る視点も研ぎ澄ませて欲しいと願い、進級の祝辞といたします。
2023年4月7日
学校法人千代田学園 理事長 髙橋 保