6月15日は、弘法大師(空海)の生誕を祝う“青葉まつり”の日です。校長先生より講話がありました。
《校長講話》
💙大阪暁光高校は、隣接する高野山真言宗のお寺「盛松寺」の先代住職によって創立されました。今から74年前の1950年のことです。
🌟これが当時の校舎です。大阪で一番小さい高校として出発しました。当時は女子校でした。
🌟これがその頃の制服です。ネクタイは赤色だったんですよ。写真に写っている皆さんの先輩は、現在90歳をこえていらっしゃいます。
🌟千代田駅です。
🌟通学路はこんな感じでした。歴史を感じますね。本校の卒業生は、現在2万人を超えています。
💚さて、今日は「青葉まつり」の式典として、仏教の教えから講話をおこないます。途中でドラマのワンシーンも観てもらい、20分程度お話をします。
みなさん、仏教の最も根本となっている教えがあるのですが、この言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「ふせっしょう」と読みます。宗教の授業で一度学んだかと思いますが、意味を漢字から考えてみてください。
「命あるものを殺してはならない」ということです。それだけでなく「殺されることに怯える状況もあってはならない」ということです。この言葉を聞いて、恐らく多くの人が、ウクライナそしてパレスチナに思いを馳せたことと思います。
私は、この仏教の「不殺生」は、「命」を奪う行為だけを指しているのではないと思っています。たとえ命があっても、人としての存在を否定したり、人の心に耐えがたい苦しみや傷つきを与える行為は、人を「死」に追いやっているのと同じです。みなさんには、「いじめ」について考えてもらいたいのです。
💙1週間前の新聞に、ちょうど20年前、埼玉県蕨市でいじめを苦にして自殺した中学2年生が、亡くなる前日に書き残した作文が掲載されていました。
彼女は、クラスでいじめを受けていました。仲がよかった友だちから突然無視されるようになり、「うざい」「きもい」などの言葉を浴びせられるようになりました。イジメはエスカレートし、女子グループから「罰ゲーム」と称して男子5人に告白することを強要されました。亡くなる前日に1人目に告白し、残る4人に告白をしなければならなかった翌日、彼女は、自宅で「告白ゲームなんていやだ」と書き残し、命を絶ちました。20年前の6月5日です。
悲しみに打ちひしがれる中でご両親は、「いじめをなくすために使ってほしい」と、作文を公開され、教育委員会に渡されました。彼女が残した作文は、今日の話の最後に担任の先生から配っていただきます。
💙命や人間の尊厳を奪う「不殺生」を無くすにはどうすればいいのか。仏の悟りを開いたブッタは、「殺される側に自分の身を置ける人間になりなさい」と語っています。今日は、いじめにおいて、みなさんが、される側の気持ちに立ち、過去の自分自身を振り返り、これからに活かせるよう、映像を観てもらいます。1年前に放送されていた『最高の教師』というドラマのワンシーンです。辛かった記憶がフラッシュバックして、苦しくなる人がいるかもしれません。そんな人は、無理に見なくても大丈夫です。
■ドラマ『最高の教師』第一話より
💙「不殺生」の教えには、単に生き物を殺さないだけでなく、他者への思いやりや慈しみを持つことが含まれます。「不殺生」の教えを実践し、人を傷つけたり、自分を守るために見てみぬふりをしてしまう、そんな人間の弱さと向き合い、生きていって欲しいと思います。
また、来週から始まる「議案書討議」では、いじめやいじめを生み出す背景についても考えてみてください。
以上で講話を終わります。
■埼玉県蕨市の中学2年生が亡くなる前日に書き残した作文■
私はどうしてイジメをするんだろうと思います。人にはもちろん好き嫌いがあるから、自分と合う人、合わない人がいるのはあたりまえだと思います。
こう思うのは私だけかもしれませんが、だったらどうしてイジメなんてするんでしょうか? 嫌いならば近づかなければ済むことだと思います。わざわざその嫌いな人を思い出して表面に出すのはむじゅんしているのでは? と思います。自分だってムカムカしてくるだろうし、その相手はもっと悲しい思いをしているはずです。
嫌いな人にその人達同士にしか伝わらないあだ名をつけ、平気で悪口や残酷な言葉を言っている人。それを言っている本人達は楽しいのかもしれない。でも大声で話せば皆に聞こえて周りが嫌な気分になると思います。私も聞いて、「もしかしたらこの人物は私なのかもしれない。」と思い、不安になり恐くなりビクビクしていた事があります。
私もこういう風に悪口を言ったことがあります。私が悪口を言った相手もこんな思いをしていたのかもと考えると、申し訳なくなります。
誰だって自分を否定されるのは嫌だと思うし、つらく悲しいと思います。その人に対して、私はもう必要のない人間なのか、もう世界中誰一人と私をこれから必要としてくれないのか、考えてみたらとても胸が痛くなりました。
イジメは自分をどん底まで沈めます。人には感情があるから、ぶつかりあったり笑いあったりする事ができます。時には、友達の意見に影響され、考え方が変わったり相手を変えることだってあります。主張とだきょうをつり合わせてうまく友達と付き合っていけたらと思います。
人は一人じゃ生きていけない。だから友達をつくる。一人のさみしさが複数でいることの楽しさへ変わる。 生活の仕方とか全く同じ友達はいない。だからこそ自分がいろんな感情を知り成長していけるんだと思います。