おはようございます。3年ぶりにマスクを外して放送します。今教室ではどれくらいの人がマスクを外しているでしょうか? マスクを外すといつもと違って緊張しますね(笑)。今日は3学期の終業式。1年の締めくくりの日です。2つお話をします。
1つ目は、学校の話です。
2月24日、卒業式をおこないました。大変感動的なものでした。3年生は、制限だらけの高校生活を跳ね除けて成長し、巣立っていってくれました。参加した1・2年生は「こんな濃い高校生活を送りたい」「これからの1年、私もいろんなことにチャレンジしていきたい」と語っていました。ぜひ、実行していって欲しいです。
昨日、1・2年生の成績報告の職員会議がありました。みなさんの勉強に対する前向きな変化や発見をいろいろ聞くことが出来ました。
「勉強が嫌じゃなくなってきた」
「『覚えよう』ではなく『理解しよう』と思うようになってきた」
「納得できるまで考えることは面白い」
「友達と教え合いが出来ることが嬉しい」
特に2年生は、修学旅行の取り組みをきっかけに雰囲気が変わり、いろんなクラスで進級を目指して一緒に勉強する姿が見られました。素晴らしいと思います。
苦労しながら学校生活を送っている姿も報告されました。毎日弟の弁当を作りながら学校に通っている人。家庭に居場所がなくて、家に帰っても安らげない中で日々生活している人。いろんな困難を抱えている人が沢山います。1年間よく頑張りました。
一方で、進級が危ぶまれている人、これから始まる追認を頑張り、落とした単位を取って進級しましょう!
2つ目は、最近起こったニュースについてです。
10日前の3月4日、交通事故で亡くなった11歳の少女、井出安優香(いであゆか)さんの賠償金をめぐる裁判の判決が出ました。安優香さんは、生まれつきの難聴で、手話を使って会話する聴覚障がい者です。
裁判で安優香さんの賠償金が通常より約700万円安い3700万円とされました。なぜ700万(15%)安いのか?裁判所は「聴覚障がいがあって普通に働きにくいから」と判決理由を述べました。
ご両親は涙されました。「障がい者は命の重みが違うのか!」と。
働きにくいのは、手話を使うあゆかさんに原因があるからでしょうか? 手話を使わない多数者に合わせて作られた社会に原因があるからでしょうか?
環境やルールを変えれば、手話利用者は普通に働くことが出来ます。実際そういうお店があります。東京国立市にあるスターバックスコーヒー。29人の従業員のうち15人が聴覚障害者で、この店では言葉を使わず手話や指さしで注文するそうです。ここでは手話が普通で、言葉は普通ではありません。
車イスの不自由さも同じ。
みなさんは、街中でどうして車イス利用者を見かけないか、考えたことがありますか? 車イスの人が外出したくない一番の理由は何だと思います?
もちろん「街の段差」や「人目が気になる」こともあるでしょう。しかし、外出したくない理由の一番は「トイレが不安だから」です。
「車イスの弁護士」の村田稔さんは、このように語られています。
「私の車イスの50年の人生は、いつも小便をがまんしながらの人生でした。あなたが小便をがまんしなくてもいいのは、あなたの足が動くからではありません。街の中のいたるところに、あなたが使えるトイレがあるからです。車イスの私が小便をがまんしなければならないのは、私の足が動かないからではありません。街のなかに、車イスで使えるトイレがほとんどないからです。街のなかに、あなたも、車イスの私も、みんなが使えるトイレがあれば、私の人生は変わるのです」
多数者の側にいる自分は、何も分っていないと思いました。
暁光高校は、教育理念に「平和で民主的な社会の実現を願い、誠実に努力する人間を育てる」ことを掲げています。今日の話がみなさんの視野や関心を広げることに少しでもつながったら嬉しいです。これからも、ニュースなど取り上げ、社会の問題を一緒に考えていきたいと思います。
以上で、終業の挨拶を終わります。
みなさん、いい春休みを過ごしてくださいね。始業式で会いましょう!
校長