おはようございます。
今年も猛暑の夏休みでした。みなさん、どう過ごしていましたか? 今日から2学期、まずしっかりとリズムを作っていってくださいね。
今日はオリンピックにちなんだお話をします。パリ・オリンピックでは感動的な場面がたくさんありましたよね。みなさんはどの場面が一番印象に残っていますか?
✤最初は金メダルの雑学クイズからです。2問出すので考えてください。
《第1問》金メダルは本当に金でできているのか?
金メダルは、直径8.5㎝/厚み9㎜/重さ529gです。答えはノー。金は表面のわずか6gのみで残りは銀。金メダルと言うけれど、中身は銀メダルなんです。ちなみに、もしこれが純金だったら650万円するそうです。でもほとんどが銀なので15万円程度です。(金1g13000円/銀1g150円)
《第2問》金メダリストは、どうして金メダルを噛むのか?
金メダルを噛む習慣は、100年以上前から始まっているそうです。純金は軟らかくて噛めば傷がつくので、金メダルを獲得した選手が、ホンモノかどうかを確かめるために噛み始めたとのことです。昔はホンモノの金のメダルだったのかもしれませんね。ちなみに、金メダルを噛んでいる選手たちの多くは、カメラマンに頼まれてポーズを取っているようです。
✤ここからはパリ・オリンピックのアスリートたちが残した名言を紹介します。誰が語ったものかわかりますか?
①「妹の分までやっぱり兄頑張らないとっていう気持ちで一日頑張りました」
2回戦で負けた妹の詩を思い、柔道男子66キロ級で2連覇した阿部一二三 選手の言葉ですよね。
②「1%の可能性を最後まで信じていた」
これは、最後に大逆転の大技を決め、2連覇を果たした男子スケートボードの堀米雄斗選手の言葉です。
✤ここからは海外のアスリートたちが残した言葉です。
③「私は女性として生まれ、女性として生き、女性として戦ってきました。いじめをやめてほしい。これからのオリンピックで同じような攻撃が無いことを願っています」
これは、ボクシング女子66キロ級で金メダルを獲得したアルジェリアのイマネ・ヘリフ選手の言葉です。女性であると診断されているのに「こいつは男だ。失格させろ」と、彼女はネット上で激しい誹謗中傷を受け続けました。
④「やりたいことを実現できない。勉強もすることができない国の女性の助けになればと思って演技した」
女子ブレイキンに難民選手団として出場し、失格覚悟で演技の最後に「アフガニスタンの女性を解放しろ!」と書いたマントを広げたマニージャ・タラシュ選手の言葉です。アフがニスタンでは、タリバンという組織の支配によって女性はスポーツができません。教育を受けられるのは小学校までです。10代半ばで、何十歳も年上の男性と結婚させられます。そして女性は顔を隠すことが義務付けられています。夫だけが妻の美しさを眺める権利を持っているからです。タラシュ選手は、祖国の女性の解放を願い勇気を持って行動しました。
➄「競技だけに集中することは不可能。私の国ではこの戦争で500人の選手が亡くなり、彼らはスポーツすることを奪われた」
陸上女子走り高跳びで金メダルを取ったウクライナのヤロスワラ・マフチフ選手の言葉です。ウクライナではロシアの攻撃によって多くのアスリートが命を奪われました。侵攻から2年半が経ち、世界の関心が薄れる中で、ウクライナのことが忘れられないように何としても表彰台の中央に立ちたかった語っています。ウクライナの水泳選手は、爆発音で屋内プールの窓ガラスがガタガタ震える中で練習を続け、冬場にミサイル攻撃で停電になった時は、-5℃の中でウエットスーツを着て練習を続けました。
➅「私は競うために泳ぐ。でも祖国には生きるために泳ぐ人がいる。命がけでおぼれそうになりながら」
これは、パレスチナの競泳選手バレリー・タラジ選手の言葉です。イスラエルのミサイル攻撃を受けているパレスチナ・ガザ地区では4万人が亡くなっています。その中には子どもが16000人も含まれています。開会式の日も学校が攻撃され、50人が亡くなりました。支援物資が届かず、96%の市民が食糧不足。海岸沿いに空から落とされる支援物資を求めてパレスチナの人々は命がけで泳いで取りに行っているのです。
「平和の祭典」と言われるオリンピック。しかし、大会期間中もロシアのウクライナ侵攻とイスラエルの無差別攻撃は続き、それらをくい止める力にはなりませんでした。しかし、目の前の戦争をくい止めることはできなかったけれど、様々な国のメッセージが発信され、世界の市民に届いたことが「差別を許さない世界に向かう一歩になっている」と信じたいです。
200年前の世界は、人を奴隷売買することは悪ではありませんでした。100年前の世界は、戦争で隣国の領土を奪うことは悪ではありませんでした。長いスパンで見れば人類は、自由と平等の方向に向かって進んでいます。歴史を進める一人で在りたいと思います。
✤さて、今年は「ある人が亡くなって50年目」にあたります。こんな絵をどこかで見たことがありませんか?
■平和への願い | いわさきちひろ記念事業団 公式サイト (chihiro.jp)
今年は、いわさきちひろという絵本画家の没後50年です。いわさきさんは、戦争の悲惨な場面を直接描かず、絵本を通して命の尊さ、戦争が生み出す悲しみを伝えようとしました。「どうして素足でボロボロの服を着ているのか」「その目は何を訴えようとしているのか」「そうならないために何ができるのか」を読む人に考えてもらおうとしました。
これから始まる文化祭の取り組み、戦争や命、人間の尊厳の問題について考えるクラスが多いと思います。ぜひ、自分の問題として感じ、考え、行動していってください。
✤最後になります。こんなポスターが大阪府から届きました。長い休暇明けの2学期初めは、リズムを作りにくく精神的に重くなりがちです。何か苦しいことがあったら、抱え込まずに相談してくださいね。担任の先生だけでなく、保健室の先生、カウンセラーの先生、サポートルームの先生もいます。大阪府の窓口も利用できますから。
みなさん、厳しい残暑がしばらく続くと思います。いいスタートを切ってください。
以上で第2学期の始業の挨拶を終わります。
校長 谷山 全