桜が舞い、朝方まで降り続いた雨にも優しさを感じる春の季節となりました。このよき日に、ご来賓の皆様、そして保護者の皆様にご臨席たまわり、新入生のみなさんをお迎えできることは大きな慶びです。教職員を代表して、お祝いと歓迎の言葉を申し上げます。
合格通知を送らせて頂いてから2カ月、みなさんとの学校生活を始められる日を心待ちにしていました。
本校では、一人ひとりがスムーズに高校生活に入れるように、入学前に三者懇談会を行っています。先日の懇談の後「生徒たちの様子はどうですか?」と担任の先生方に伺いました。「高校生活に期待を膨らませている人が大半ですが、友達関係や勉強に大きな不安を抱いている人がいてちょと心配しています」と返事が返ってきました。
まず最初に、みなさんには「焦らなくても大丈夫。自分のペースで慣れていけばいいから」とお伝したいです。新しい環境は、大人でも不安です。この学校には、他の学校にはない「みんなで学び合う」ことを大切にするクラスの取り組みや、活発な学校行事、生徒会活動があります。取り組みに参加することで、自然と友達関係が広がっていくことと思います。
さて、オープンスクールで一度触れましたが、大阪暁光高校の名前についてお話させていただきます。私たちは、この「暁光」の名前に特別な思いを込めています。暁光の「暁」は、「あかつき」と訓読みします。「夜明け前のまだ闇に包まれた状態」をいいます。
今、教育の現場では、多くの子どもたちが悩み、傷ついています。いじめが後を絶たず、学校が安心して過ごせる場所とは言えない状況が生まれています。点数による競争によって自信が奪われ、わずか15歳で「自分はダメだ」と諦めてしまう子どもたちを生んでいます。この中にも同じ思いをしている人がいるかもしれません。「暁光」という名前は、子どもたちが生きづらい時代にあって「希望の光を灯せる学校でありたい」「看護師、保育士、大学進学など、将来の夢を叶える学校でありたい」…と、そんな思いから名付けました。
「ダメな人間なんていない」「いじめられていい人はいない」「一人ひとりが自分らしくあっていい」…これらは、人類の歴史の中で、人々が差別と闘い、到達した「人間の尊厳」に関する原則です。「わからないことを生徒のせいにしない」…これは、大阪暁光高校の教員の合言葉です。私たちは、生徒が安心して過ごせる教室空間を作り、生徒たちの「勉強をわかりたい」という大切な願いに応えていきたいと考えます。
今日から始まる高校生活、心のコップを上向きにしてみましょう。下向きのコップでは、水をいくら入れようとしても溜まりませんから。色々なことに挑戦し、自分のよさをいっぱい発見していってください。
最後になりましたが、ご臨席いただきましたご来賓の皆様、本日はご多用にもかかわらず、本当にありがとうございました。保護者の皆様、学校は、生徒が成長するだけでなく、お子様を間に挟んで、教員も、そして保護者の皆様も一緒に成長できる場でありたい思っています。お子様にとって「今何が大切か」「そのために何ができるのか」を一緒に考えいきたいと思っています。至らぬ点もあるかと存じますが、これからのお力添えを、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
新入生のみなさんの充実した高校生活と健やかな成長を願い、私の式辞といたします。
2024年4月9日
大阪暁光高等学校 校長 谷山 全