おはようございます。3週間ぶりとなりますが、みなさん、元気にしていましたか?
今年は桜の開花が遅れ、桜が舞う始業式となりました。桜の花は本当に美しいですね。外国人にとても人気で、生きている間に一度は日本の桜を見てみたいと、今、外国人観光客が日本に押し寄せているそうです。今日の始業式では、「桜」にちなんだお話をします。
最初に、「桜」に関するクイズを2つ出しますので、考えてくださいね。
◆1問目です。
みなさんが毎日使っている貨幣の中に、桜のデザインが入っているものが1つあります。さて、何円玉でしょうか? 1円玉?10円玉?50円玉?100円玉?500円玉?…どれでしょう?
正解は100円玉です。ちなみに、1円玉は若木、5円玉は稲穂、10円玉は常盤木(ときわぎ)、50円玉は菊、500円玉は桐です。毎日使っているのに、意外とわからなかったのではないでしょうか。
◆2問目です。
「やらせ」の書き込みを「さくら」といいますよね。食べログなんかで問題になっているやつです。この「さくら」と花の桜は関係あるでしょうか?
正解は……関係があります。「やらせ」の「さくら」は、江戸時代の歌舞伎から由来しています。舞台が盛り上がる場面で「よっ!待ってました!」などと掛け声を出す観客がいました。入場料をタダにする代わりに掛け声役として雇っていた客を「さくら」と呼んでいました。瞬間的に声を出す「ヤラセ客」が、パッと咲いて散る桜と似ているところから「サクラ」と呼ばれるようになったそうです。だから「さくら」は漢字で、このように「偽客」と書きます。
◆さて、ここからがお伝えしたいことです。1つ目は、桜の花の悲しい歴史についてです。美しい桜は、実は日本の戦争と切っても切れない花でした。パッと咲いて潔くと散る姿が、軍国主義に利用されてきました。兵士が、国のために死ぬことを、褒め称えるために利用されてきたのです。
これは何かわかりますか? 特攻隊です。行きだけの燃料を積んで敵の戦艦に体当たりする<特攻隊>や、戦死することをたたえる<軍歌>に、桜が利用されました。
これは「桜花」という一人乗りの特攻機です。これは『同期の桜』という軍歌です。
◆そして、さらにお伝えしたいことは、今も世界では、戦争によって多くの命が、桜の花びらのように散っていっていることです。日に日にニュースが減っているゆえ、皆さんに考えてほしいのです。
この写真、どこの国かわかりますか。ウクライナです。2年前から始まったロシアによる侵略によって何十万人もの犠牲者が出ています。いつ戦争が終結するのか、全くメドが立っていません。
これは、どこかわかりますか。半年前からイスラエル軍による侵攻を受けているパレスチナのガザ地区です。30分後に自分の命があるかどうか分からない中で、市民は暮らしています。犠牲者の多くは、女性と子どもです。5月には人口の過半数が飢餓状態になると言われています。
今日は桜の花から、日本の過去の戦争や世界の現実に目を向けてきました。
大阪暁光高校は「人間教育」を建学の精神に掲げ、人の命と尊厳を何よりも大切にしたいと考える学校です。今日から始まる2024年度、「平和と非暴力の文化」を育む教育を推進することを改めて決意し、始業の挨拶とします。平和のバトンを受け継ぐ人を、たくさん育てていきたいと思っています。
みなさん、新クラスでいいスタートを切ってくださいね。
校長