《12月21日の終業式の校長挨拶》
おはようございます。4ケ月の長かった2学期が、本日終業します。
2学期は、いろんな出来事がありました。大阪は、阪神タイガースの優勝で大いに盛り上がりましたね。職員室にも熱狂的な阪神ファンの先生が10人ほどいて、38年ぶりの優勝がかかった日本シリーズ期間中は、朝から阪神タイガースの話題で持ち切りでした。
私は特にひいきにしている野球チームはありませんが、「今年日本一を逃したら自分が生きている間にもう見られないかもしれない!」と、意気込んで応援している先生方の落ち込む姿を見るのが辛いので、阪神を応援していました。(笑)
熱狂できるものがあるのはいいですよね。趣味や「推し」があるのは先生たちも皆さんと一緒。職員室には、阪神ファンの他に、韓ドラ好き、釣り好き、温泉好き、登山好き、車好き、サイクリング好き、爬虫類ペット好きなど、いろんな繋がりがあるんですよ。
さて、先生たちの横顔を紹介したところで本題に入ります。今日は3つお話をします。
1つ目です。
趣味や「推し」があることはいいことなんですが、先日、若者についてちょっと気になる話を聞きました。
4~5年前はこう言われていました。「最近の若い子は、ニュース番組や新聞を読まないでネットニュースしか見ない」 ところが今は「最近の若い子は、ネットニュースも見ないで毎日自分の好きなYouTubeやSNSばかり見ている」・・・というのです。
どうですか?趣味や「押し」の世界に没頭して、世間のニュースから取り残されていませんか? 今日はそれを聞いてみようと、新聞を持ってきました。
連日、新聞の一面でトップに取り上げられているニュースがあるんですが、わかりますか? パレスチナ問題ではないですよ。・・・ これです。
岸田総理大臣が代表を勤めている自民党の中の中心グループが、年に何回もパーティーを開いて、1枚2万円のチケットを大量に売り、集めた資金から一人何千万円ものお金を、報告しないで裏金として自由に使っていたというニュースです。国会議員が逮捕されるかもしれない大事件になっています。
関係ないと思うかもしれませんが、私たちが納めた税金の使い道を決めるのが国会議員。教育にどれくらい使うか、福祉にどれくらい使うか、防衛費にどれくらい使うか・・・予算を決める仕事を担います。
日本は教育に使われる税金の割合が先進国で最も低い国です。3年生には、高い学費のために大学進学を諦めたり、不安を抱えながら奨学金を借りて進学する人がたくさんいます。税金の使い方を決める国会議員にお金の不正があったら、それは許せないことですよね。
みなさん、好きなYouTubeやティックトックを見るだけでなく、「市民」として世の中の動きに敏感であって欲しいと思います。
2つ目です。
1つ目のような動向の中で、2学期の成績報告の職員会議では、授業や文化祭、修学旅行を通して、社会に対して関心を持つようになった人、視野が広がった人が、たくさん生まれていると報告されました。素晴らしいことです。
写真を見てください。2年生の修学旅行の、ひめゆり資料館での写真です。ひめゆり資料館は、みなさんと同じ年頃の学徒が、補助看護師として動員され100名以上が亡くなった壕の横にあります。一人一人の顔写真が飾られていて、最後にどのような死に方をしたのか、どんな言葉を残して亡くなっていったのが記してあります。真剣に見ているでしょう。スマホに書き留めている人もいたんです。
また、3年7組のKさんは、文化祭を終えてこんな風に言っています。「私は今まで、同性愛や在日コリアンの人を色眼鏡で見ていた。それは、日本と韓国の歴史やLGBTQの事を、ちゃんと知らなかったし、知ろうとしていなかったからだとわかった。知識のないことが、デマを信じやすくしたり、ちょっと調べただけで全てを知ったように思い込み、差別につながっていくと思った」 学ぶ中で、自分の中にある偏見や差別に気付いたと言います。
職員会議では、このような変化がたくさん報告されました。3学期、もっといろんな人の中に発見が生まれたらいいですね。
3つ目です。
この後、通知表が渡されます。2学期はテストの他に文化祭、球技大会、戴帽式、修学旅行とたくさんの行事がありました。頑張れたこと、不十分だったこと、2学期の自分をじっくり振り返りましょう。
大阪暁光高校は「学び合い、支え合う」ことを何よりも大切にしたいと考える学校です。2学期の球技大会では、放課後の練習だけでなく、朝練や河内長野の体育館を借りて練習するクラスが3年生にありました。3学期は、全員が進級し卒業できるよう、学習面でも一緒に成長を作っていって欲しいと思います。
それではみなさん、よいお年をお迎えください! 以上で終業の挨拶を終わります。
校長